“S=松田翔(S)太だった件”
前作を観終わって数時間後に第二弾を鑑賞。
というのも、公開時やたら流れていた予告の時点で、これは松田翔太映画になるんじゃないか？と密かに期待していたからだ。
前作は配役はほぼ文句ないものの、アクションや脚本が足を引っ張っていた。
では前作の欠点が改善されていたか？
結論から言うと改善はされていない。
むしろ後退しているといっていい。
配役については、清水富美加の代打としてトーカ役に山本舞香が起用されている。彼女自身空手有段者という実力の持ち主であるため、アクションにおける体術についてはさすがといった動きをみせる。しかし、前作の清水富美加がただツンツンしているかのように見えて優しさを垣間見せる演技が絶妙だったのに対し、本作は棒読み演技が所々見受けられるなど演技力では劣っているように思える。
また、前作から予算が削減されとしか思えない程にキャスト数も少なめ、強烈な新キャラは松田翔太ぐらいだ。それ以外のキャストは前作からの続投組含め文句のつけどころがないはまり役だった。
アクションと脚本については、やはりアクションは暗くCG使いすぎ、脚本はグールレストランの目的、月山習の背景などが見えてこない説明不足な展開、結局月山は強いのかよくわからない等イマイチ。特に今回山本舞香が起用されたことで、ラストバトル含めほぼ体術のみのアクションとなっており、赫手を使ったグールならではの戦闘がほぼないのも残念でならなかった。
また、あの有名キャストの登場もあったため続編も想定されていただろうが、大コケしてしまった以上、単なるサプライズで終わってしまったのも痛いところ。
上記のような漫画実写映画ならではというより実写版トーキョーグールならではの欠点が改善されておらず、それだけだと前作超えには思えないだろう。
しかし、本作には松田翔太という巨大な起爆剤が存在していた！
登場した瞬間只者ならぬ風格を思わせ、同役のアニメ版声優が宮野真守だったのも納得がいく変態さ。わざわざ真っ昼間の大学構内に前作の蒼井優並の妖艶な佇まいでカネキを訪ねてくる。そして、ラストバトル前の驚愕の変態発言、「僕のだ！」と駄々こねる姿の全てが松田翔太にしかできない変態性とヤバさを兼ね備えた強烈さだった。この松田翔太だけで上記の欠点は払拭できる勢いだった。
逆に言えば本作に月山のようなキャラクターが不在だったら、松田翔太がキャスティングされていなかったら‥‥と思うと恐ろしくて想像できない。まさに本作のタイトルにあるSは、松田翔太のS、もしくは月山習のSといっていい。それ相応の仕事はしているし、彼こそ本二部作のベストアクトだ。
