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ティム・バートンのコープスブライドのkanacoのレビュー・感想・評価

2.9
ストップモーション・アニメでホラーファンタジー×ミュージカル。生者は死者のように顔色が悪く、死者はガイコツがベースにつき世界観はスタイリッシュでシュール。主人公が所謂、ハプニング系ラブコメでよく見る何故か女子にモテる冴えない系男子。あまりストーリーと主人公が好きになれなかったな。(140文字)

****以下ネタバレあり&乱雑文****

結婚を控えた気弱な男が、当日失敗し結婚が延期になってしまう。落ち込みながら一人で式の練習をしていたら、間違えて死者の花嫁に結婚の誓を立ててしまう。そのために、死者の世界へ連れ去られてしまい…というホラーファンタジー。

クリスマスに憧れたハロウィンタウンの王ジャック・スケリントンが巻き起こす騒動を描くストップモーション・アニメ「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」が大好きなので、同じような匂いを感じる本作は、公開当時気にはなっていたのだが、予告をみたらなんかパッとせず、結局見ないままになっていた。サブスクで初見鑑賞。

作品をあまり比べてはいけないのだろうが、共に、制作がティム・バートンで、ストップモーション・アニメ、ホラーファンタジー×ミュージカルともなれば、ジャンルはほぼ同一につき、どうしても比較してしまう。キャラクターは、モンスターというよりは死者なのでガイコツがベースにつき、可愛いというよりはスタイリッシュでシュール。音楽はリズムやベースが完全に一緒。続編かと思うほど類似した楽曲。でも曲数は少なかったような気がする?

ストーリーはちょっと乗り切れなかった。主人公が所謂、ハプニング系ラブコメでよく見る、何故か女子にもてる冴えない系男子タイプ。優しく穏やかな性格ではあるが、ネガティブだし、周りに流されるままでオドオドしていて、気が弱い。ドン引きするほどポジティブで行動力の塊だったジャック・スケリントンとは正反対。極端😂反対に、ヒロインである人間の婚約者ヴィクトリアと幽霊の婚約者メアリーはとてもいい娘。で、主人公が両方の女性にどっちつかずで優柔不断にフラフラ。断りながらもまんざらではないし。幽霊の婚約者、完全にキープ扱いじゃん。それゆえ、全然パッとしない主人公の行動に、最後まで好感度が上がらなかった。主人公、なんか、した??ほとんど女性陣の健気さに救われたお話に見えた。ちょっとの男気ではなく、もっと強めな主人公の行動も見たかったな…。

あと、印象に残ったことは「人情」において、生者の世界の方が圧倒的に冷たく、死者の世界の方が圧倒的に温かい。その対比は明らかで、その点はなんだか、生きている者として哀しい気持ちになった。

主人公と花嫁が、その後、死者の世界のような人情味溢れる生者としての人生を送れるといいな。
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