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カイジ 動物世界/動物世界のmのレビュー・感想・評価

4.7
利根川ポジションでマイケル・ダグラス出演、謎のピエロが謎のクリーチャーと闘う謎のアクションシーンと事前情報がいちいちぶっ飛んでいて謎が謎を呼んでいた実写「カイジ」中国版が唐突にネトフリ降臨。

まずピエロは現実逃避の空想癖のある主人公の妄想で、主人公が妄想に耽ったり怒ったりすると特に必然性無く登場する。妄想カーチェイスも全く必要性が無い。少しダレもするが、このアクションやカーチェイスやVFXのクオリティが無駄に高いのでなんとなく許してしまう。

本筋に関しては、複数のゲームを登場させた日本の映画版に対してこちらの中国版はなんと『限定じゃんけん』一本勝負。結構リスキーな賭けだと思いきや、原作に忠実にしっかりと描写していてこれがかなり良い感じ。原作の本来の持ち味である頭脳戦の面白さが遂に完璧に映画化された。日本版よりも観客を信じている作りだと思う。


カイジや脇役達の自然なクズ感の演技も良い。無駄に喚き散らさず皆小声で喋るのがしっかりリアリティを高めている。
日本版の過剰演技がかなり嫌だったので、この点でも中国版に軍配が上がる。

それにしても画と美術のクオリティが異常に高く、中国映画界の勢いを感じる。アジア以外の外国人俳優達にパチモン感が無いのも日本映画との大きな違い。何よりマイケル・ダグラスが作品世界の中で浮いていないのがヤバい。

野心的な演出も楽しめて、思いの外好意的に見れた。続編ではこの調子で是非Eカードとかやってほしい。
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