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ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREYのペインのレビュー・感想・評価

3.5
“世紀の駄作”となってしまった4年前の前作『スーサイド・スクワッド』。

それも今思えば『エンド・オブ・ウォッチ』のようなリアルな実録モノでこそ力を発揮するデヴィッド・エアー監督には全く向いてない企画だったので、致し方なかったかなと思っている。

ともあれ4年前にその“世紀の駄作”を観てしまったからには本作も見届けなければならない義務がある…そんな使命感のもと、不安を感じつつ観た本作。


結論、拙い部分もたしかに散見はされたし、4点はやや甘いかなという気もするが、個人的には『マン・オブ・スティール』から始まった一連のDCエクステンデッド・ユニバース作品で一番“好き”でした(※ちなみに2番目に好きなのは『シャザム!』)。


監督に抜擢されたのはキャシー・ヤンさんという中国系アメリカ人の方で、アジア系の方がアメコミヒーロー映画の監督に抜擢されたのは初だそう。


そんな大抜擢も納得の新人監督で、ヤンさんが撮った前作のデビュー作『Dead Picks』という作品の予告編を観るだに才気走った感じがビンビン伝わってきて、本作『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』でも大いに発揮されていた毒々しいまでの色彩の使い方だったりも垣間見れて、早くも大物になりそうな予感がしました。

そんなわけで本作『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』ですが、前作『スーサイド・スクワッド』でハーレイの彼氏であったジャレッド・レト演じるジョーカーが完全になかったことになっているのは少し切なかったもののw、『デッドプール』よろしくガンガン第四の壁ぶち壊し放題で、テンポよく進んでいくストーリー、マーゴット・ロビー演じるハーレイの“底はかとない軽薄さ”(褒めてます)が痛快でした!


マーゴット・ロビーのあのコロッコロ変わる表情とか、目が明後日の方向いたりする仕草は絶品極まりない。本当にとびっきりキュートに演じているし、何より本人が演じていて楽しそうである。『アイ,トーニャ』のトーニャ・ハーディングと並び、間違いなく彼女の一番のハマリ役でしょう。


アクションはあの『ジョン・ウィック』シリーズを手掛けてきた、今や世界最高峰のアクションデザインチーム“87イレブン”が手掛けており、肉弾戦メインの重みのある痛さがリアルに伝わってくるアクションが素晴らしい。


終盤の遊園地での遊具を使った見事なアクションシーンなども素晴らしかったのだが、個人的に一番印象的だったのは中盤に挟まれる『紳士は金髪がお好き』オマージュのミュージカルシーン。

その他のキャストでは
復讐に燃える“ハントレス”役のメアリー・エリザベス・ウィンステッドは『デス・プルーフ』のときとはうって変わって男前なキャラクターでこれはこれで好きでしたし、カサンドラ役の女の子の下剤をいくら飲んでも壊さない鉄人並みのお腹とかも笑いました。ユアン・マクレガーはヴィランとしては強さには欠けるものの、心底感じ悪いキャラクターを見事に演じていたと思います。中盤、彼が女性に性的嫌がらせをするシーンはカットされそうになったみたいですが、監督は押しきったそうです。


なにはともあれ、製作陣が女性中心で構成されているのも納得のガールズパワー炸裂な痛快作でした。本作はハーレイだけの物語ではない。わたしたち(Birds of Prey)の物語である。ラストのあのしれ~っと終わる感じも含め最高でした。
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