風来坊

アド・アストラの風来坊のレビュー・感想・評価

アド・アストラ(2019年製作の映画)
3.5
月面や宇宙空間の表現が秀逸。映像には相当のこだわりが見える作品。
ストーリーは壮大な宇宙に対しての、人間の親子関係という宇宙からしたらちっぽけな物を合わせるというちょっと変わったアプローチ。

感情を抑えられる男が主人公なので、物事を淡々とまるで他人事のような感じで丁寧に描いています。
中盤までは英雄と称される父親の思い出を追ってという良い話的な展開でちょっと退屈になる場面もありました。しかし、ある時から急激にキナ臭い話になってきて急展開。

ハラハラする場面は少ないですが、宇宙環境を利用したアクションシーンは見応えあります。月でのチェイスと船内でクルクルは個人的に印象が強い。
宇宙軍と乗組員達がバカ過ぎて滑稽。別に敵意など主人公に持ちようがないんだから、ちゃんと説明すれば全てが丸く収まって普通に任務遂行出来たと思う。

本作は高名な批評家さんにすこぶる評判が良い。確かに映像や台詞から色々な事を感じ取り考察する玄人好みの映画と思う。ただその反面、商業的な面白味には欠けます。その辺が評価が分かれてる要因だと思います。

宇宙や地球外生命体探索という壮大な設定は単なる風呂敷で、メインはあくまでも感情や精神など人間臭いものでした。
終わってみれば頑固親父というかバカ親父に振り回された息子の奮闘を描いた家族ドラマな印象。親父探しのついでに事態収拾の器用さは嫌いじゃない(笑)

壮大な宇宙で脆い人間の心…。そういう対比というか皮肉った物語だったのか?好きな人はとことんハマりクセになる作品と思うのですが、私はふーんという感じで胸に来るものがなくハマれませんでした。違和感のない宇宙空間を再現した映像は素晴らしいの一言です。

まとめの一言
「宇宙で親子喧嘩」
風来坊

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