宇宙を舞台とした感動ヒューマンドラマ、言うなれば、宇宙版・父をたずねて三千里的な話かと思えば、そうでもなく、まるで50年後のドキュメンタリーのような静かな作品だった。
自分の中で、宇宙と死のイメージは重なる部分が大きくて、どちらも終わりのない暗闇をひたすらに彷徨うような恐怖を感じてしまう。また、どちらも未知であることも一致する。だからこそ、恐怖とは相反する無限の可能性も感じずにいられない。そんな好奇心と恐怖の狭間で人は何を思うのだろうか。あまりにも広大な宇宙で、そんなミニマルな人類の葛藤を、静かに淡白に描いているような気がした。
映像として真新しさはほとんどなく、エンタメ要素も少なく、掴みどころの狭い作品ではあれど、宇宙という広大な舞台でミニマルな哲学を繰り広げるのに邪魔なものがなく、それが良かった。
