ちっちゃなきょゥじん

アド・アストラのちっちゃなきょゥじんのネタバレレビュー・内容・結末

アド・アストラ(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

人類の孤独か、個人の孤独か:
地球から海王星まで約45億km。
舞台設定は壮大なのに、描いているのは父と子の葛藤。

宇宙には、地球以外に生命はいないのか?
人間と交流可能な知的生命体はいないのか?
この問題は、しばしば "人類の孤独"として語られる。
主人公ロイ(Brad Pitt)の父クリフォード(Tommy Lee Jones)は、この孤独を解消するため、海王星に漕ぎ出し、消息不明になり、伝説の人に。
しかし実際の父は、自分の目的を成し遂げるために、地球に帰りたいと反乱を起こした同僚を皆殺しにした狂人だった。
長い孤独を乗り越えて海王星に辿り着いた息子に、お前がいればもっと遠くまで漕ぎ出せたと、叶うはずもない希望を嬉々と語る狂気。
クリフォードにとって問題なのは"人類の孤独"であり、航行不能な船に取り残された自身の孤独にも、同僚やロイが家族から離れて味わった孤独にも無頓着。
大義の為に、家族との時間を犠牲にする。
とてもありがちな日常だけど、それが如何にに罪深いか。
語られるメッセージはとてもシンプルだけど、通底する雰囲気や劇伴が好きで、好感度の高い映画でした。

P.S. 正直前半うとうとしちゃいましたが、ゴリラの登場でバッチリ目が冴えました。
あと、日本ではCMで宇宙人役でおなじみのTommy Lee Jonesが、地球外生命体を探してるって図式も、そこはかとなく面白かったです。
ある評論家は、宇宙ものとしては変わってると評してましたが、「Solaris」も「Interstellar」も似た感じ。
宇宙で家族を語るのって、あるあるなのかも。