他の役者が演じるキャラクターであれば解決できない局面を、鉄拳で打破していくマ・ドンソク。
とは言え監督は彼に頼り切りの状況を避けたかったのか、二転三転の脚本で起伏を設ける。
プロデューサーや観客が許すはずもないバッドエンドが、むしろ自然な流れだったが…。
それが無理ならばせめて「周囲へ権力を張り巡らせた巨悪に、誰が決定的な引導を渡したのか」を、説得力を以て描くべき。
或いは社会的弱者に相当するメインキャラクターふたりのいずれかに、腕力以外の力を与えるべきだった。
「車のガラスを素手で割る」ぐらいでは不充分、カタルシスの抜け落ちた雑なご都合主義にはがっかり…、2018年制作の韓国映画に、まだこんな不出来があるとは!
正義漢がメインに据えられた時点で本作は「ノワール」でない、しかし変態美術教師キャラクターが運ぶ猟奇の香りは刺激的、彼のアトリエに掲げられた絵画作品は、いずれもなかなかの迫力。
加えて風紀の乱れた女子生徒の設定には『ツイン・ピークス』のような雰囲気も。