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L7:プリテンド・ウィ・アー・デッドのmimagordonのレビュー・感想・評価

4.6
「私たちは着飾るバンドとは違う。エロい目で見てきたらぶん殴る」
「『あの女はタマがある』って、なんでタマがなきゃ強くなれないわけ?」

既存の価値観に中指を突きつけ、シンプルにロックを奏でたい4人。ファンもいて、ライブでは熱狂に包まれるL7だが、業界やメディアからは「ガールズ・バンド」か、「怒れるフェミニスト」としてか見てもらえないフラストレーション。売れるためにはメジャー契約しないとならないが、売れなければ契約を切られる。バンドの運営は火の車。それでもロックしてやるというエネルギーが彼らを突き動かす。ホームビデオから垣間見得るL7の4人は純粋に音楽を楽しみ、人生を楽しむ「ちょっと外れた」人間たちだ。バンドの絶頂期から解散の経緯までは、どうしても彼らが女性であるがために浮いた存在であったことを認識せざるを得ない。映画を観る者も、L7のメンバーたちも。一時期は苦しみの中表舞台から去ったけど、ファンは忘れなかった。そして今でも活動を続けている。それこそがL7の成し遂げた偉業ではないだろうか。自らを偽らず、自分達のやり方でロックし続け、そこに共感した人たちがファンとなり彼らを支える。数々の障壁にも屈することなくL7であり続けること。そしてそれは、彼らのファンや後のアーティストたちを支えているのだ。ロックは死なず、L7も死なず。ギターを鳴らして暴れるんだ!最高!
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