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呪詛のmimagordonのレビュー・感想・評価

呪詛(2022年製作の映画)
4.6
なるほど、怖い。そして巧みだ。

「娘を救うために、あなたの力を貸してください」。繰り返される不気味な呪文、劇中幾度か画面に出てくるシンボル。ミステリ的に6年前破ったタブーを薄皮を剥がすように明かしつつ、母と娘の絆を物語の主軸に置く。ホラー映画としてはよくある構造とプロットだし、ファウンド・フッテージの形式となれば随分前に手垢のついたものになっていたが、まさかこんなことになるとは。アジアンホラーらしいジメっとした質感、土着信仰というよそ者には理解し得ない恐怖がラストに向けてじわじわと加速する。

しかし一番良くできているのは、ちゃんと親子の物語として成立していること。娘をなんとかして救いたい。できることならなんでもする。そういう思いに共感する人も多いのでは。だからこそ、この映画の構造が活きてくる。正直怖さそのものより、演出の巧妙さにやられてしまった。いや、呑気にそんなことを言っていられるのも、また私がよそ者だからかもしれない。

最後に、これは劇場公開してほしかった。コロナ禍で時期的に難しかったのだろうが、音響、特に呪文のループと暗闇の底から聴こえてくるような響きは大画面で体感したかったと。今からでも遅くないと思う。もし、ドゥオドゥオを本気で救うのであれば。
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