Yuto

足跡はかき消してのYutoのレビュー・感想・評価

足跡はかき消して(2018年製作の映画)
5.0
心に傷を負った父親とその娘が、雑踏から離れ、住む場所を探し求める物語。


大好きです。
映画のどこがどう好きだったのか、上手く言葉にできません。

とにかくすべてのシーンが好きです。シーンひとつひとつが美しかったです。
最初の5分で既に映画に引き込まれてしまい、そして終わるまで一度もその世界から放されませんでした。自分でも驚くほどキャラクターに感情移入してしまいました。
こんなにも魅了された映画体験は、今までの人生でもそうはありません。


本作を監督したのは『ウィンターズ・ボーン』(2010)で知られるデブラ・グラニック。
あの映画も大好きです。脚本、撮影、音響編集、そして音楽。映画を成す要素すべてが私のド・ストライクでした。

そして本作『足跡はかき消して』は、個人的にはそれをも上回りました。

素晴らしい脚本、素晴らしい演技、素晴らしい撮影、素晴らしい音響編集、素晴らしい音楽。1時間48分にそれらを完璧に収めていました。
余計な台詞や演出など一切ないです。

そして映画の最後のシーンで本作のタイトルの真の意味がわかり、胸に熱いものが込み上げてきました。


上記の通り、この映画を具体的にどう好きなのか上手く言葉にできません。
それは、(完全に私の私見ですが)心に傷を負った者の気持ちを、そうでない者が容易に理解したり、言葉にできないのと同じかもしれません。

面白い映画はたくさんあります。
しかし本当に好きな映画とは、いわゆる「映画的な面白さ」を鑑賞中に求めたりせず、心から世界観にのめり込み、登場人物の平安を願える、そんな映画なんだと改めて思いました。

本作は本当に心に残りました。
娯楽映画ではないので短期間に何回も観たりはしないでしょうが、理屈なしで大好きな映画です。
語彙力が乏して申し訳ありません💦。

監督したデブラ・グラニックと製作に携わったすべての人に感謝を申し上げたいです。
最高の映画体験でした。文句なしの満点です。
Yuto

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