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ブラ! ブラ! ブラ! 胸いっぱいの愛を/ブラ物語のkomonoのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

貨物列車の運転士・ヌルラン。彼の列車が通る線路は人々がテーブルを広げてお茶をしたり女性が洗濯物を干しており、列車が通る時だけ片付けると言う慌ただしい日常の中を走っている。時に引っかかる洗濯物などを持ち主のもとに返すのもヌルランの日課であった。定年退職を迎えたその日はいつもと少し違い、美しい青いブラジャーが引っかかっていた。持ち主を探すことにしたヌルランは様々な女性を訪ねゆく。
不思議な世界感を持つファンタジックなコメディ作品。全編を通しセリフはないがたくさんの音にあふれていて、そこに添えられた人々の表情がよく印象に残る。リアリティとファンタジーが上手に入り混じっていて心地よく楽しめた。

お茶をしている男性たちのスキンヘッド率がやけに高いなと思ったんだけど、もしかしたらこの世界では強い男がモテるのかも。夫がいる女性はみな夫には逆らえないし、スキンヘッドでなくても屈強そうな男性が多い。気になっていた女性の母親に力のテストみたいなのをされてあえなく撃沈していたし、妻を守れる強さがあることが結婚の第一条件なのかもしれない。
定年まで真面目に勤め上げ気弱そうで穏やかなヌルランには惹かれる女性達がいたっておかしくはない。気の強そうなおばさま達はヌルランを突っぱねているし、そうでない女性は私のものよと言わんばかりにブラジャーを試着したりしているし。ブラジャーのシンデレラとレビューに書いている方もいたが、無理やりガラスの靴に足を突っ込んでいく、まさにそんな感じがした。

物語が進むにつれブラジャー売りのおじさんへ、家宅侵入おじさんへと進化したのに気持ち悪さがないと言うのはすごい。
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