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ジェミニマンのmのレビュー・感想・評価

ジェミニマン(2019年製作の映画)
3.5
3D+inHFRで鑑賞。
とにかく新技術以外の見所が無いのが辛い。脚本と演出はひたすら凡庸、そして『若いクローン=まだ人生の道を誤らずに済む自分』という解釈で1人の男の生き直しを描くその生真面目さが映画を硬直させる。もっとバカになって良かったのに。これで良いのかアン・リー。

ハイフレームレートはかつて「ホビット」で48フレームのものを観て、劇場で気持ち悪くなってしまった悪い思い出がある。家電屋で映画を勝手にハイフレームレートにする機能付のテレビを観ているとその違和感で気持ち悪くなるが、あの感じ。さて今回の「ジェミニマン」は遂に60フレーム。悪酔い覚悟で行ったが、ここまで違うと割り切って観れもする。
ただやはり思うのは「ホビット」同様、とにかくチープに見えるという事。古い価値観なのかもしれないけれど、『映画』には『現実らしさ』とは違う何かが必要なのだと思う。
ハイフレームレートは普通の芝居パートではチープになるし、動きが速すぎるアクションでは動きの速さと相殺してしまう。一番丁度良かったのは中盤のバイクチェイス・シーンだった。
アクション・シーンに関しては全体的に3Dとハイフレームレートを意識した見易い撮影やカット割りが成されていて、そこもまた良かったと思う。アクションはあまりカットを割らずに広い画で見せる。

CGによる若ウィル・スミスは大スクリーンでクローズアップになっても全く違和感が無い。しかし現在の皺の刻まれたウィルのクローズアップを見ていると、そこにある『味』がやはりまだCGには無いとも感じる。いやそれでも感情的な芝居を見事にしていて凄いのだけど。


各々のキャラクターに魅力が無かったのは残念だった。
メアリー・エリザベス・ウィンステッドが演じるヒロインは頭もキレるし格闘も強いし主人公と恋仲にもならずお色気も一切出さない、現代的な良いヒロイン像だったのだけど。今作でメアリーさんが気になった方は、来春公開の「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」をお楽しみに。
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