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メランコリックのざべすのレビュー・感想・評価

メランコリック(2018年製作の映画)
5.0
おぉぉお!!

これは鑑賞者が『ダメ、底辺、クズ、落伍者、負け犬、憂鬱な人間を愛せるか』で評価が分かれる映画やな〜

設定やお話にリアリティがないんだけど、『憂鬱という、抜け出せない倦怠感』という概念に「分かる、分かる、なんてリアルなんだ……」と、とても共感できる。

高学歴ニートを主人公に置いたのも大正解。
乱暴な言葉を使ったり、競馬・パチンカス、マルチ勧誘、モラハラな『一般クズ』は、こういう映画は見ない。そういう輩は己のことを悪人だなんて微塵も思ってない上にヒーロー映画とかが好きな傾向にある。
こういう皆が想像しやすい『クズ像』ではなく、実は身近にいて共感もしやすい『真面目クズ』の一例、高学歴ニートを選んだのは「分かってるな〜〜」の一言。

自分も、ちょうどこの4月からニート4年を脱して仕事を始めたので、主人公の境遇がなんか身に沁みてしまって、この映画が更によく思えた部分もあるかも。
(主人公はニート前も後も『メランコリック』。自分は出産・子育てで無職だった上に映画を毎日3本見るような満喫しまくったハッピーニート生活だったので、全然違うっちゃ違うんだけど)
主人公の汚れ仕事も、ブラック企業に勤めたことだったりヤバイ過去のアレコレを連想して「どんなに倫理観がブッ飛んだ恐ろしい環境でも、周りが普通にしてたら同化するように入れちゃうし感覚も緩慢になるよなぁ…」と、不安定さの共感にグイグイひきこまれた。

ラストにもうちょっと欲しかったなとか惜しい点はあるものの、
これが監督の第一作だぜ? 充分です!
次回作、追います。期待大。
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