ライアン孤独な海賊王

メランコリックのライアン孤独な海賊王のレビュー・感想・評価

メランコリック(2018年製作の映画)
4.8
初日1回目鑑賞。
映像制作チームOneGooseの初長編作品。

名の通ったキャストさんが出演してる訳では無いけど、秀逸なアイデアとそれを膨らませるしっかりした脚本があればこんなに面白い作品になるって手本だな。なるほどテイストは全く違うが『第2のカメ止め』と言われる理由もわかる。そのぐらい口コミで宣伝されて拡がってくだろうし、映画好きであればあるほど唸るしハマると思う。

サスペンス要素も大きいけど、恋愛だったり、バイト仲間とのプライベートの友人とはまたちょっと違った連帯感だったり、家族との距離感だったり、あれもこれも入ってるのに、破綻することなく全てのピースが見事にハマって、ちゃんと1つの絵になってる。これは相当計算されてる脚本だと思った。

簡単にあらすじを紹介すると、主人公の東大出の半ニート青年がひょんなことからバイトすることになった銭湯の裏の秘密……殺しの現場貸しを目撃したことで騒動に巻き込まれてしまう話。

主演・和彦役の皆川暢二さんは、OneGooseの発起人でもあり本作のプロデューサーでもある。劇中では何かと挙動不審な和彦と違い、素顔のご本人はシュッとしたイケメンでそのギャップが見事。

見所の一つ、雑居ビルでのタクティカルなアクションは必見!動きのキレ、カメラワークの巧みさ、全てがハイクオリティ!
邦画でよくある素人喧嘩の延長みたいな立ち回りではなく、小寺や松本の使う細かい掌握術が海外の軍隊で教わるような実戦のコンバットファイティングで、確かにこれはプロの殺しだよなって強烈な説得力を持たせている。

舞台挨拶で時間制限ある中でどうやって撮ったのか質問したら、OneGooseの一員でありタクティカル・アーツ・ディレクター(簡単にいうと殺陣担当)で、和彦のバイト先の相棒松本役の磯崎義知さんとカメラさんが撮影場所を事前ロケしてカメラワークを決定。立ち回りは磯崎さんが当日付けて、少し通しただけで3時間ほどで本番撮影を終えたと聞いてさらにビックリ!普段陽気で人懐こい松本が豹変し、裏の顔全開になるこのシーン観たら絶対磯崎さんファンになること間違いなし!

加えて吉田芽吹さん演じるヒロイン百合ちゃんがとても魅力的。何故絵に書いたようなステレオタイプの東大くんに惚れているのかは未だに謎だが、世の男性の理想を体現したような存在で、とにかく笑顔が最高に可愛い。これだけでしょぼいご飯も美味しく食べられる!

他にも銭湯のオーナー東、殺しの依頼をするヤクザ田中、田中の女アンジェラ、和彦の両親、和彦の同級生・田村など個性豊かな登場人物が脇を締める。
何回観ても面白いオススメ作品です。