【第81回アカデミー賞 外国語映画賞ノミネート】
オーストリアのゴッツ・スピルマン監督作品。ベルリン映画祭パノラマ部門に出品されC.I.C.A.E賞を受賞、アカデミー外国語映画賞にもノミネートされた。日本では劇場未公開。
なかなか素晴らしい作品だった。この年は『おくりびと』が外国語映画賞を受賞したが、完成度で言えば本作の方が遥かに凌駕している。
恋人を失った男、その恋人を撃った警官、二人の男の運命が交錯するヒューマンドラマ。淡々とショットを連ねていくタッチが上手い。やはり同じオーストリアのハネケを連想させる冷徹な描写がいい。
淡々と描きつつも飽きさせない展開力が素晴らしい。白黒つけない終盤の展開、描き方も好きだった。冷徹でありつつもどこかユーモラスな雰囲気もあるような全体のトーンも好き。
ウルリヒ・ザイデルやミヒャエル・ハネケが好きな人なら絶対にハマるはず。日本での公開作があまりないのが残念だが、他の作品も観たいと思わせる魅力的な作品だった。