あらすじ
一度は家族を捨てた父親が、発達障害の息子と36年ぶりに一緒に暮らすことになり、悪戦苦闘しながら本当の親子関係を築くまでを描いたイスラエル産のヒューマン・ドラマ。
発達障害の息子ガディとの生活は予想以上に厳しく、父親のルーベンは戸惑いを隠せない。イライラが募るあまり、ガディに怒声を浴びせるなど喧嘩も絶えず、なかなか上手くいかない日々が続く。ある日、ガディは思い通りに物事が出来ないことで自分を責め、塞ぎ込んでしまう。何よりも辛いのは、ガディが父親が自分を捨てた理由を理解していることだ。しかし、そんな息子の姿を見たルーベンは、彼の想いに寄り添おうとし始める。36年の長い別れの時間を取り戻すかのように、ルーベンは少しずつガディとの愛情を育んでいく様子に胸を打たれる。重い糖尿病を患うルーベンと、日々のサポートが必要なガディ。二人とも自分が一杯一杯でありながら、お互いを想って助け合うシーンは、親子の絆が見え、愛おしく感じられる。
ラストシーンはとても切ないが、ガディがずっと出来なかった靴ひもを結び、前を向いて歩き出す後ろ姿でじんわりと静かな感動が押し寄せてくる。万人に自信を持ってオススメしたい秀作。