ヨッシー

夜の来訪者のヨッシーのネタバレレビュー・内容・結末

夜の来訪者(2015年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

登場人物の誰もが犯人足りうる状況という、ある意味サスペンスの王道的な流れで話は進んでいく作品。
娘の婚約祝の夜に現れた警部から語られる話は、家族の誰もが知らない、自殺したエヴァとのそれぞれの関係。
社会的にも金銭的にも満たされてる家族が持つ裏の顔が徐々に暴かれていきます。
全てを語り終えて警部が去った後、自分達の都合の良いように話を繋ぎ合わせ、警察と病院に確認し、来訪者は警部では無く、自殺者もいない。
その事実に安堵して喜び会う大人達と、自分達のした事実に向き合う息子と娘の対比は、より大人達の醜悪さを際立たせていますが、その安堵を根底から覆す結末を迎えます。
来訪者が警部では無く、エヴァもまだ生きているのでは?と途中からそう思いながら見てましたので、生きてるエヴァが出てきた時は、ああ、自殺はこれからかと、その死因まで語られていたので、とても辛い思いになりました。
最大の疑問は来訪者は何者だったのか?
映像の中で消えたり、いるはずのないところにいたり、エヴァしか知らない日記の内容を知ってる演出があったので、おそらく人ならざる者だったのでしょう。
人ならざるものが、人という仮面を被っただけの醜悪なる人ならざる人を裁いたというのが一番辻褄が会うと思います。
Ifの話をしますけど、この作品を見た方と感想を話した際に「来訪者は悪い人にしか見えなかった」という話になりました。
そうだとすると、家を出た時のエヴァには来訪者は見えて無かったのに、自殺という悪事を行い、死を迎える直前には来訪者の姿が見えています。
この悪人にしか見えない説は、残念な事に多分事件に関係のないメイドが一番先に見えちゃっているので成り立ちませんが、その方が遥かに深みのある面白さになったと思うのは私だけかな。
いずれにせよ、凝縮感が半端ない87分間の名作でした。
ヨッシー

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