J・B・プリーストリー『夜の来訪者』をBBCが映像化したTVM。1954年にガイ・ハミルトンが映画化していてそちらは未見だが、結婚祝いの晩餐、飄々とした謎の刑事、自殺した娘、と不吉な要素てんこ盛りなので現代の映像で大仰に演出してくれた方がイイ。フィン・コール坊やがまさか？と家族が察する際の、不穏なのにもはや喜劇としか思えない盛り立て方。ミランダ・リチャードソンの悪代官BBAっぷり。ただただ厭な男ことカイル・ソーラー。えげつない余韻の引きずり方、この途方もない暗さ、これぞイギリス！傑作中の傑作。最近のBBCはポンコツプロデューサー、ハリー・アラン・タワーズのせいでろくな映像化がされなかった『そして誰もいなくなった』やら、ワイルダー版が傑作すぎて誰も手を出さなかった『検察側の証人』やらを見境なくリメイクしてくれるのでとても信用している。
