ベビーパウダー山崎

われらの時代のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

われらの時代(2018年製作の映画)
4.0
つまり優れた作家とは寝取る(犯る)側ではなく、粗暴な労働者に激しく突かれる妻を盗み見ることしかできないその弱さと捻じれたナルシシズムにある。直接的な快楽より間接的で倒錯的な恍惚。性器(世紀)の結合ではなくマジックミラー越しに陰茎を一人硬直させる、その行為、孤独にある。自らアクションを起こす必要はない、浮かび上がったドラマを語り、映す、映画はすでに「私」や「アナタ」がその立場から台詞を吐き出しているだけの表現ではなく、誰もが誰かの言葉を発する自由(もちろんそれがモノローグだとしても)を手に入れている。上空からの夜の街、酒とドラッグでトリップしている部屋飲みに突然現れる白塗りのボーカル、レイガダスは映画祭に集まるようなつまらない客を殺せない代わりに馬や牛を殺す。