たむ

LORO 欲望のイタリアのたむのレビュー・感想・評価

LORO 欲望のイタリア(2018年製作の映画)
4.2
ベルルスコーニをモデルに煩悩のイメージのみで描ききった凄まじい作品です。
ソレンティーノ監督とセルヴィッロさん主演のコンビは、フェリーニ監督とマストロヤンニさん主演のコンビと近い物がありますが、本作を観ていると、それ以上にフランク・キャプラ監督とジェームズ・スチュアートさん主演のコンビが描いた良心のダークサイドのような気がしてきます。
『イル・ディーヴォ』も恐ろしい政治家の映画でしたが、本作は自伝映画的なベルルスコーニという人間がどう生まれ、どういう影響を与えたかを物語として分かりやすく描きません。
ソレンティーノ監督がフェリーニ監督から最も影響を受けた点であるパーティや幻想の中で、イメージで魅せていきます。
陶酔というほど美しい瞬間もあれば、ゲス過ぎて観客を引かせる瞬間もあります。
それがベルルスコーニという人間の本能と本性の核なのではないか。
承認欲求のある煩悩の塊。
理解できるか、拒絶するか。
首相就任からラストは、日本人として決して他人事ではないシークェンスです。
ソレンティーノ監督らしいイメージ先行の映画であり、具体性では見落としてしまう人間の欲望が描かれています。
たむ

たむ