無知A

サマー・オブ・84の無知Aのレビュー・感想・評価

サマー・オブ・84(2017年製作の映画)
3.7
夏休みに、少年達が日常からの脱却を図り、非日常へと足を踏み入れる。本作に見られるこのプロットは、ロブ・ライナー監督の『スタンド・バイ・ミー』やリチャード・ドナー監督の『グーニーズ』にも見られる。ただ、どちらかと言えば、非日常に最後まで溶け込む『グーニーズ』よりも、非日常から日常へと戻り、喪失感に苛まれる『スタンド・バイ・ミー』と似ている。

では、本作と『スタンド・バイ・ミー』では何が違うのか。それは、強調部分の違いである。『スタンド・バイ・ミー』では、夏の日の思い出である非日常を、死体というアクセントを含みながらも、日常に近い空気感で描いている。そして、最後に、強烈な後日談を加えることで、夏の日の出来事が現在においての非日常という事を強調し、そこに喪失感を生じさせている。
一方、本作『サマー・オブ・ 84』では、非日常である夏の日の思い出を、とことん非日常として描ききっている。また、非日常への喪失感という部分では共通しているが、『スタンド・バイ・ミー』が羨望だとすれば、本作は後悔に近いものとして描かれている。これら二点が、大きな違いであると私は考える。

最後に、本作の主張がどういったものか触れようと思う。私は、前述のように、非日常への後悔が作品の中央に位置していると考えている。したがって、主張もこれに準ずるものとして、自分の行動が関係者全員に大きな影響を与えてしまったこと。そして、プロローグとエピローグの両方で見ることの出来る、隣人であっても本性は分からないといったニュアンスがそのまま作品のメッセージであると考える。
善悪は別とし、余計なことにクビを突っ込んでしまったために、助かる人もいれば、失った人もいるといった具合に、『JSA』よりは救いがある物語だが、所謂、胸糞というものはあるかもしれない。
無知A

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