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第三夫人と髪飾りのsukimmerのレビュー・感想・評価

第三夫人と髪飾り(2018年製作の映画)
4.0
『男の子が生まれるようにお祈りをしてしまった。私がいけなかった 。』

“女性であるということ”を強く意識させてくれる、良い意味での男女の違いにうっとりとさせてくれる作品だと思った。しっとりと夜の闇を照らす月のように、広大な水面も指先で揺らすように、彼女たちは首筋のしなやかな曲線を扇子でなぞってみせたり、瞳の扱いかた、腰のうねらせかたを嗜めては旦那様を満足させていく。美しくも厳しい桃源郷に広がるあるがままの大自然や生命の息吹のように、彼女達はこれまでの女性として、これからの女性として、ひっそりと、しっかりと華を咲かせていく姿に勇気を貰える。

桃源郷を舞台に世継ぎを誕生させるために嫁いだ14歳のメイは、第二夫人、第一夫人に導かれながら誰かを愛すること、愛を諦めること、ただ女として男児を出産せなばならないこと。行き場のない感情をたおやかな姿勢で受け入れゆく姿に心打たれる作品だ。

トラン・アン・ユン監督の情景の繊細や女性の静かな佇まいに見え隠れす強かさを、セリフ頼りにせずに語る姿勢が好きな人は心地よく感情を揺らすことができるはず。トラン・アン・ユン監督が見出した、期待の新生メイフェア監督の話題の処女作品だ。
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