常盤しのぶ

映画ドラえもん のび太の月面探査記の常盤しのぶのレビュー・感想・評価

3.5
ミステリ作家である辻村深月が脚本を手掛けたことで話題となった本作。相変わらず一歩間違えれば即死は免れない環境で自分たちの理想郷を作るのび太たち。大人になるとこういうしょうもない部分が気になってくる。嫌な大人になったものだ。

たまに映画用として、原作には登場しないひみつ道具が出てくる。今回の肝である異説クラブメンバーズバッジはどうなのかと軽く調べたところ、どうやら原作に存在する道具らしい。ただ、もうひとつの方は映画オリジナルの模様。この2つの道具を用いてミステリ作家らしいシナリオとストーリー展開を作った辻村深月は流石と言う他ない。少し考えればたどり着ける着地点ではあるものの、ドラえもんを観る年齢層でも理解できるように作り込まれた画作りも良かったと思う。

映画オリジナルのカメ野郎、ムカつくなぁ~~~~。『ご存知ない!?』の言い方使い方が他人をバカにする時のオタクなんよ。ムカつくなぁ~~~~ムカつきすぎて逆に好きになってきた。しばらく真似したくなる。

ノビット(メガネのウサギ)も好き。今回のキーパーソンでもある。モブっぽいキャラが本編でめちゃくちゃ重要な動きをする展開、大好き。

シナリオやドラえもん側のキャラクターの魅力含めて本作はシリーズの中でも他人に勧めやすいと思う。しかし、黒幕の魅力が今ひとつ物足りなかったように思えたのは少し残念。今回のストーリーギミックがとてもミステリ然としているのでミステリ作品の入門としてもオススメできるかもしれない。