おーもり

映画ドラえもん のび太の月面探査記のおーもりのレビュー・感想・評価

3.5
いやーこの日、ファーストマンを観た後、その流れで本作観たんですが大大大正解でした。
月へ向う一人の男の心情と、人類の技術を積み込んだ技術でたどり着いたあの場所。
今作の導入部で、まさにファーストマンから地続きの現在、あの場所で、無人探査機が横断しているという感動。
そして何やら不思議な生き物の耳が映り込むという、現実から幻想の世界に移行していく体験がすごく感慨深く。

今回、お決まりのオープニング「夢をかなえてドラえもん」めっちゃよすぎて、そこでもう泣いたんですよ。
最近では一昨年の南極カチコチでも流れたけど、今回は作品のテーマ「月」にちなんだ、人類と月との物語(月世界旅行、かぐや姫、狼男etc)を辿る作りになっている。
昔々から人が夢見てきた物語にのせてさ、歌詞で
「大人になったら忘れちゃうのかな?そんな時には思い出してみよう」
なんて言われたらもう泣いちゃうよ。
はっきりいって、「夢をかなえてドラえもん」は、大山ドラ時代の「ドラえもんのうた」(♪こんなこといいな..のやつ)よりも断然好き。

ストーリについては、そもそも秋が舞台ってのもめずらしいかな。
部屋にきちんと前作の宝島の本と、「ノビタオーラ号」がボトルシップになって置いてあるのみつけたよ!

エモーション的には前作まではいかなかったけど、さすが脚本さんドラえもんオタク、めっっちゃくちゃ上手いよこれ。
勝手に深読みしてるだけかもしれないけども、これ、人の手によって産み出されたモノ達が自立していく話なんですね。

可愛らしいムービット達や、エスパルの子供達、人工知能のAIディアボロ。
創造主に対して、あるものは崇め敬い、あるものは従え支配し破壊する。そしてまたあるものは共に生きて死んでいく事を選んだ。
産み出されたもの達は、自分の命の意味を自問して互いに争う、なにこれもはやミュウツーの逆襲ですよ。

そして、のび太ら子どもたちが産み出したモノの本質はなにかというと、ドラえもんも劇中で熱弁していた未来をつくるもの。夢や想像力だ。
のび太が生み出した想像の月住民ノビット。ラストでこの子が作り出したあべこべ発明、定説バッジが鍵となり大団円になる。
つまり思い描いた夢が、時代、世代を経てついに現実になって存在し続けるっていう、子供達になにを言わんとしてるかって事ですよ。こりゃめちゃくちゃ上手い。

ただ、全体作り方によっては、ほんと重く暗くなってしまうかもしれないとも思った。
だからかもしれないが、ラスボスを倒す流れもマーチ的にアレンジした「夢をかなえてドラえもん」で勇ましさというよりは、明るく楽しい安心感重視。
ラストのエスパルの決断もさらっと行ったけど、あれほんと、モンの凄く重大な決定よな。
終盤のエスパー帽子の原作通りの下ネタに劇場のみんなドッカンドッカン笑っていて幸せな空間だなぁと思いました。

次作もオリジナルかなぁ。扱う題材が題材なだけに重要なポイントになりそうな作品の予感。
毎年毎年、大人になった今もこれからもこの気持ち忘れなくないなぁ