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蜜蜂と遠雷のkamekichi313のレビュー・感想・評価

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)
4.0
☆ピアニストの厳しい孤高の世界を、さわり程度ではなく、内側から描き出すような繊細さに、音楽への愛を感じる。
☆カメラワークが凄い。斬新な視点から撮っていたり、人物の心の揺れに合わせた動きや、対称性ある定点や、流れる動線で臨場感をみせる方法は、芸術的だった。
☆映像が洗練された雰囲気があり、うっとりする。深い色使いと透明感もあって綺麗。ポストモダンな建築の美しいホール、オブジェ、品のある服装など、細かなところまでこだわりが感じられる。グラフィックも美しい。
☆完璧を求める音楽、生活者の音楽、故人との音楽など、それぞれの生き方や感性や信念や環境が、全然違う音を生み出す描写が丁寧で、ドキュメンタリー番組のように分かりやすく楽しい。技術や、音の質感や、憑依だったり、ソロやオケなど表現方法も様々。
☆劇場にいる人たち、関わる人たちの表情にも焦点が当てられていて、物語に広がりをもたせているのは良かった。
☆会話は最小限に、曲は特に序盤と見せ場とラストをしっかり聴かせてくれていた。
☆天才音楽家同士が、音楽で心を通わせるシーンはわくわくさせられる。
☆母の喪失とトラウマいう一貫したテーマは、訴えかけるものが大きい。
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