チヒ

ちいさな独裁者のチヒのネタバレレビュー・内容・結末

ちいさな独裁者(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

第二次世界大戦末期のドイツで実際にあったお話。
1人の脱走兵ヘロルトが偶然見つけた大尉の制服を着用して、架空の任務をでっち上げ、周りを欺いていく。

最初は生き残るため、求められる姿に寄せいたように見えたヘロルト。
しかし権力を手にして取り巻きも出来る事で、タガが外れていく様が丁寧に描かれていた。

最後まで見て、想像以上の若さに戦慄した。21歳でこんな事出来る!?って感じ。
若く、ズボンの丈も合っていないヘロルトを見て、周りには彼を偽物と見抜いている人もいるようだった。
しかし、ヘロルトの決断によって自分が救われる、また希望が叶うとあれば、そんな疑惑には目を瞑り盲従する事を選ぶ。人間ってそういうものなのだと感じた。
そして周りがヘロルトを大尉として扱えば扱うほど、信憑性が増し、多くの人がそれを真実だと思うようになる。

この映画、新鮮に感じたのはあくまでもドイツ軍内でのお話である事。
ヘロルトの決断によって残酷に殺されるのもまた、以前の自分と同じ脱走兵達。
そこがまたなんとも言えない絶望感だった。

あとエンドロールが素晴らしかった。
最初は映画の中のシーンかと思っていたら…
本編は淡々と描かれているのに代わり、ここでは風刺的で少しコミカルでもあった。

最後に個人的好みでのお気に入りシーンは、収容所が襲撃された時の人体爆散。
チヒ

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