人は権力や権威に対して、
容易に媚び諂い、あるいは忖度し、
簡単に服従するものだ、ということを、
誰もがたやすく残虐になれる、ということを、
この映画は、如実に描き出す。
そうならないように、
理性をもって抗えるかと、
どのような状況に置かれても
自分だけは平静を保っていられる
と果たして言い切れるのかと、
この映画は観る者に
絶えず自問自答を迫る。
実話に基づいた作品だが、
監督が語るところによれば、
削ったところはあっても
加えたものはないとのこと。
だとすれば異常な現実
というほかないが、
それを通じて描かれるのは
極めて普遍的な人間の本性の問題だ。
単に過去の話であるにとどまらず、
現代における警鐘でもある、
ということを示した
エンドロールまで秀逸。
最後まで見届けたあとに
面白い映画だった、と言うには
不謹慎なほど優れた作品。
みずからの目でしっかり見よ、
そして、自分の頭を使ってよく考えろ。
2019/01/29 Filmarks試写会 @角川映画試写室