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シャフトの都部のレビュー・感想・評価

シャフト(2019年製作の映画)
3.4
アウトロー節の効いた単純明快な筋書きと新旧の価値観が交じ入る親子の小粋な掛け合いの数々により形作られる本作は、治安の悪さに名高いハーレムの街で繰り広げられる捜査劇として平均的な面白味の水準を獲得しており、時代錯誤ながら荒々しく魅力的か父の背からイロハを学んでいく息子の成長物語としてまずまずの映画である。

原作は1970年に発表された小説『Shaft』のようで、そのリメイク劇場版の続編ということを知らずに鑑賞したのですが、初見にも優しい作品で大いに助かりました。

昔ながらの男尊女卑的な振る舞いが目立つシャフトの相棒として一般人寄りの価値観を持った息子を配置することで、テンポがよくバランスも良い話が澱みなく展開されていくスピーディさが良いですね。
親子関係/恋愛関係の進退を織り交ぜながら本題である事件の捜査を進展させていく熟れた進行はハリウッド映画的で、観客が求める味を不足なく提供する居住まいにも好感が持てる。

シャフトを演じるサミュエル・L・ジャクソンの俳優としてのパブリックイメージを上手く扱った配役の妙もそうですが、やはり画面に居ると締まる俳優というのはありますね。こうしたコテコテな味付けに難色を示す部分もなくはないですが、アメリカンコメディとしては安定の味。

終盤の三世代シャフトによる抗戦は短いながらやはり盛り上がるものがあり、この片意地を張らせないことに尽力したいつもの味の作品としても盛り上がりところはキッチリと抑えています。
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