タナキク

僕たちは希望という名の列車に乗ったのタナキクのレビュー・感想・評価

4.0
1956年の東西冷戦状況にある東ドイツのとある高校を舞台にした映画。
この時はまだベルリンの壁が無かった時代です。
若者の純粋な気持ちで取った行動が後に大きな問題へと発展していきます…。

キッカケとなったハンガリーの民衆蜂起の事は恥ずかしながらこの作品で知りました。興味本位で西ベルリンへ行き見た映画から知り得た情報が登場人物たちの感性を刺激します。
ストーリーは淡々と進んでいくように見えますが登場人物たちの心情の揺れ動きは時間の経過とともに変化、状況も変わっていきますのでのめり込んで見てしまいます。
若いエネルギーがこれまでも世界の歴史の中で大きな変化を起こしてきました。
この話しが実話ベースという事でリアリティもあります。

今でこそドイツは一つの国となり自由を謳歌出来る状況ですが第二次世界大戦後からベルリンの壁崩壊に至るまでは東西で格差があり非常に厳しい時代があったという事を改めて知る良い機会となりました。
ラストシーン見てその後にベルリンの壁が作られて更に東西の溝が深まったという事を知ると登場人物たちのその後の人生にも大きな影響を及ぼしたはずです。
それを思うとやるせなくなります。

そしてベルリンの壁崩壊、ドイツ統一で東西冷戦というのは終わったようにも見えますが根深い問題はまだ残っておらずロシアとウクライナ、NATOとの関係など複雑で現代も冷戦は残っているんだなと感じさせられます。

この作品は生きていく上で何が大事なのか、人それぞれですが若者たちの行動で教えてもらったような気がします。
タナキク

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