メキシコの昔話に由来するラ・ヨローナが、伝承に沿って子供の命を奪うという設定がもう好み。心霊系ホラーにもそれなりの理屈やリアリティを求めるタイプなので、中盤までのラ・ヨローナの控えめな現れ方やポルターガイスト現象も好き。破戒僧的な元神父の手段を選ばないプラグマティズムや、ラ・ヨローナへの対抗するための道具類シンプルさもよく分からない説得力がある。心霊的に受けた傷が児童虐待と誤解されるところも母親からしたらたまらないだろうが、そういう心理的な追い込みも秀逸。ホラー映画の宿命でクライマックスには心霊がはっきりくっきり見えるのは避けられないのだろうが、個人の好みだけで言えばもう少し露出を抑えて欲しかった（少数派意見だろうけど）。とはいえ、絶妙なスケアジャンプ挿入度合い、特に前半の良い意味で地味な心霊現象、心霊側の行動原理の明確さなどもあって総合的に大好物といえる作品だった。
