オースティン

ウエスト・サイド・ストーリーのオースティンのレビュー・感想・評価

4.4
やはりこの作品はミュージカルの金字塔である。

リメイク作品なので、ストーリーやプロットなどを評価するのは違う気もするが、今見ても通用する素晴らしい物語だ。

原作のエッセンスを2020年代に理解されるように解釈し、誰もが楽しめる作品に昇華させる。こういったアプローチにおいて、スピルバーグの右に出るものはいないように思う。さすが、スピルバーグである。

当たり前のことだが、バーンスタインの音楽は素晴らしい。映画全編を通した組曲のような構成になっており、バレエやオペラのような芸術作品そのものだ。それでいて個々の曲が印象的なのが凄すぎる。現代のミュージカル作品にはない、精神性を感じる。

音楽同様に素晴らしいと改めて感じたのが、ソンドハイムの歌詞である。歌詞そのものが詩のように美しい。少し抽象的でシンプルな言葉選びが、作品の芸術性、普遍性を高めているように思う。最近のミュージカルにおいては、歌詞で具体的な説明をすることが多いので、逆に新鮮に感じた。

全編を通して、バレエ作品のような素晴らしいダンスを見ることができるが、時にアリアナ・デボースのダンスは凄かった。もちろん歌も演技も素晴らしい。癖のないアニータというのも、良かった。

今までウエストサイドストーリー見たことない人で見たい人は、まずこっちの作品を見れば良いんじゃないだろうか。それほどにおすすめできる作品だ。