れ

ウエスト・サイド・ストーリーのれのネタバレレビュー・内容・結末

-

このレビューはネタバレを含みます

物語と音楽は分かってるのに、あぁなるほどソレはここで持ってくるのか!とちょっとした展開の組み替えをしているのにリメイクの楽しさがあった。“Cool”とか、“I Feel Pretty”とか、へぇここで出んの!とわくわくした。

物語全体の至るところに差別や軽視の蔓延るオリジナル版もかなり社会性に切り込んでいたのだとは思うけれど、今回はその残酷さを“物語の一部”としてしっかり残しつつも台詞や振舞いに21世紀の時代性を反映させていたのだなぁ、と…リメイクの意義が見えてグッときてしまった。JETS vs SHARKSとしてだけじゃない細かい葛藤も織り交ぜていて、人種・宗教・性別といったものもスピルバーグ版の方がかなり複雑に感じた。単なる差別発言も減らす・失くすのではなく、それに対しての対抗・反発の台詞や姿勢を入れ込んで声を上げているのも原作リスペクトと時代性のバランスが巧いんだろうなぁ。キリスト教色も結構強めてた印象。アニータのレイプシーンでJETS側の女の子たちが声を上げていたのも刺さった。(これが#metoo運動下にある時代…) SHARKSの路上“America”シーンでもパンツスタイルの女の子がいて、もう女子=スカートという服装も覆されてんだ!と。あと、オリジナル版でアニータ役をやっていたリタ・モレノが本作新キャラのバレンティノ役として出ているのもすごい。プエルトリコ人でありドクの妻であることの中立性・複雑さが際立ってた。
というかNY市街のスクラップ&ビルドでまずどちらも住む場所を追われている場面から始まるんだもんな。彼らが闘っているのは自分たちの生活を脅かす全てのものだったりするんだよね…… 映画としては、役者の多人種化だけじゃなく言語の使い方もスペイン語台詞が多くてきっとリアル。「英語で喋れ!」というのが何度も出てきていたのも印象的。そんなこんなで、かなりアップデートされている…と至るところで感じる。配慮配慮で盛り込みすぎな気もする(観ていて少し疲れた)けれど、今この時代にリメイクするならばここまでやらないとだよなぁ。物語の普遍性と時代的な変化を浴びられる作品ではあった。

個人的にはアニタ役のアリアナ・デボーズのダンスが素晴らしすぎて釘付けでした。リフ役のマイク・ファイストもかなりかっこよかった!オリジナル版の方がアクロバット多かった気がするんだけど、本作はダンス多めでそれはそれで良かったな。ミュージカルならではの音ハメ映像も、バチバチにキメこむカット割の多さも、見せ場のバルコニーやマリアの部屋での長回しもぜんぶ楽しかった〜ドルビー鑑賞も大満足。
オリジナル版観たのも2年前とかなので、ちゃんと見返したい気持ち。
れ