当たり前のようにステップを、脚をしっかり撮っている。
それだけでクラシックなミュージカル。
ミュージカルであるからにはなぜ突然、歌い踊り出すのかがいつも重要なのだけど、ギャングたちが踊り出すと街の交通はストップするのに、このやからは横断歩道を渡る堅気の人たちの前ではダンスをやめて立ち止まる。ああ、これは任侠映画なんだ! 踊るものたちはヤクザものなんだ! と気づく瞬間。
原作ミュージカルそのままなのだが、こんなに暗かったっけ? と思ってしまった。
現代的なマイノリティ性はきっと包摂の物語なのだと思う。マジョリティにいかにマイノリティを取り込むかという話ばかりが豊穣である。
最近はマイノリティがマイノリティであり続けること、自分がおった傷を抱え込み、それと心中すること、決して明るい場所に出られない「夜の人々」の物語を最近ぜんぜん見なくなったように思わされた