Ren

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇りのRenのレビュー・感想・評価

4.0
あざした。何の物足りなさもございません。超面白かった。大袈裟かもしれないけど、去年『RRR』に熱狂した方は一旦今年はこれを観るといいと思います。

個人的にも(おそらく世間的にも)、エンタメかくあるべし!なテンションを純粋に楽しんだ。
とにかく全観客を平等に楽しませたいという製作陣の真っ直ぐな思いが全シーンから感じられた。誰が観たって分かるし面白い。面白エンタメカノンコードに則って作られた上質なコメディ・アドベンチャー。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のようだと言う評を散見してそれも確かにと思った。アウトロー達のリベンジという大筋は共通しているし、半ば本気で半ば照れ隠しのようなギャグの連打もそれっぽい。
他にも、ブラック・ウィドウやストレンジやスカーレット・ウィッチのようなキャラクターとアイテムが次々出てくるのは確信犯だろう。映画化にあたってMCUを意識しているのは間違い無い。それこそGotGなど初期MCUの単発で無条件にワクワクするあの感じを「ほぼCG」とかでなく、ハリポタくらいの実在感でやっていたことに思わず唸った。

主人公が実は一番実働として貢献していない無能ムーブなのも面白い。ゲームでプレイヤーに操作されているキャラっぽいし、『ゴースト・ハンターズ』からエッセンス拝借したのかな?と思ったりした。

お話は各々で確認していただくとして割愛。
ご都合はある。ご都合ではあるのだけど、全てのご都合がご都合にならないよう事前に布石を打っているため納得できるのが今作の上手さだ。あいつがあんなタイミングでああなることは、序盤であいつがああいう人間だと説明しているからちゃんとルールに則っている。そういうフェアなご都合が終始ある。
単にギャグを詰め込んだおバカ映画の体でいて、かなり脚本は上手くできていると思った。

他にも、とにかく編集が潔い。イベントの手数と手際の良さが素晴らしい。
おそらく十数分のアバンタイトル。情報量に比して爆速で処理されていて基礎点1.1倍したい。基本的にずっとストーリーはテンポ良く進み、「ここだけ残せば話は伝わる」「ここは面白いからしっかり残す」「これは残しても面白さ変わらないから潔く削ろう」という編集の取捨選択が全てバチっとハマっていた印象があった。134分と意外と長尺ながら、ラストまで全く飽きなかった。

「インディ・ジョーンズ」シリーズから『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズまでのアドベンチャームービーをぐちゃっと混ぜてできた「こういうのでいいんだよ」なエンタメ。社会性や時代性の渦から少し浮いたところにある真空空間に大切に閉まっておきたい普遍の娯楽作品だった。

その他、
○ ソフィア・リリス好きになってしまった。吹替が彼女だけ異様にボソボソしていて自然な発声で(無意味に熱量を込めた所謂声優演技でなかった)良かったのだけど、南沙良で納得した!
○ ドレク(ソフィア・リリス)が変身しまくるワンカット風シークエンスは少しあざといけど最高に楽しい!ここと空間移動魔法を駆使して金庫を狙う後半のアクションが特にお気に入り。
○ 劇場で死ぬほど見た予告だけを頼りに何も詳細を知らずに観て、ほぼ新人か無名のスタッフとキャストで作った大作だと思っていたので、普通にヒュー・グラントが出てきてびっくりした。

【余談】『ジャングル・クルーズ』以来、実写洋画を吹替で観た。
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