多タロ

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇りの多タロのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

スター・トレックやワンダーウーマンでお馴染みのクリス・パインが世界一有名なTRPG原作映画に主演と聞いてワクワクしながら視聴。
全編通して原作ファンならばニヤリとするのかもしれない固有名詞が妙に多く、いまいちとっつきにくい感はあるものの、剣と魔法のファンタジー(+大さじのコメディ)映画の"こういうのでいいんだよ"を地で行ってくれているのがとてもありがたい。
メインの登場人物は皆個性が強く、どこか癖のあるキャラクターばかりなのだが個人的に印象に残ったのは落ちこぼれ魔法使いのサイモンとパラディンのゼンク。前者はビジュアル的にも冴えず、才能はあるらしいものの自信に欠ける青年なのだが、終盤魔法空間でもう一人の自分と対峙する試練に幾度も挑み、最終的にまさかの物理で勝利すると覚醒。あれよあれよとラスボスと肉薄するまでに成長するのだから非常に痛快だった。弱キャラが作中最強格にランクアップするのはやはり良い。一方後者のゼンクは比の打ちどころのない聖人。落伍者揃いのパーティにあって主人公よりよほど主人公らしい活躍をする上、愛らしい堅物の天然キャラ、さらには褐色の超がつく男前なのだからたまらない。終盤ふわっとした理由で退場させられるのだが、まぁ主役を食っちゃいかねないから致し方ないのかもしれない。
物語上わずかにひっかかったのは決戦前夜にピクサー辺りの教科書的"一度分かり合えなくなるのだが和解"パートが少し強引な点と回想で悲劇的に描かれていたアンデッドの魔法を街の人々があっさり回避してみせた点、話の流れとしてしょうがないが蘇生相手を簡単に鞍替えしたところくらいだろうか。
とにもかくにも要素をかなり詰め込んでいるにも関わらず、コメディマシマシで肩の力を抜いて楽しめた良作。エンドクレジットの匂わせも2024年現在続編の計画も無いようだが、これが実現した暁には劇場に足を運びたいと思う。
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