設定、メイク、動作、縮尺…、色々なルールが分からなかった。もちろん技術も演者も一流。でも歯車が噛み合わないとこういうことになるんだなあ。
そもそも「舞台版はみんな見てるでしょ？」というスタンスが不親切。映画と舞台はファン層が違う。
そして決定的なのは、技術でなんとかなると思って全てが進行してしまった点だ。
舞台は生だ。生で楽しめるように工夫されている。もちろん映画に移行して成功している作品は多い。ただ本作は「みんなキャッツは見てるんでしょ？」という間違った前提のもと、「舞台版の何が魅力なのか」を忘れてしまうという二重の過ちを犯している。要は最新技術であっと言わせたいという気持ちだけで突っ走り、観客のことは考えてくれなかったんだ。
よく分からないルールの中、魔改造された歪な猫人間が延々と自己紹介して、観客は感情移入できぬままエンディングを迎える。2回『メモリー』が歌われて、なんとか場を繋いだ印象。
外に出てホッとした映画は久しぶりだ。
