ヒロタ

キャッツのヒロタのネタバレレビュー・内容・結末

キャッツ(2019年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

点を付けるならタマネギだとか言われてるし77億の赤字。ラジー賞確実。劇場版キャッツを、パワーワード使って批判するのが流行っている。いやいや、私はそんなことはしない。右に倣って同じような言葉を言うのではなく、ちゃんといいところを言えるように、偏見で映画を見るのは良くない。そう思いながら見に行った。


マジで風邪の時の悪夢だった
酷すぎるデザインと悪趣味な映像を2時間食らって、私はおそらく次観た映画を傑作というだろう。毛の生えていない人間が出ているだけで映画は素晴らしいのだ、と。

アーーーーーーー!!!なぜCATSはこの様な酷評される映画になってしまったのか?私は頭を抱えた。おおよそ褒められるところは歌とか舞台よりストーリー展開がわかりやすくなってるとかキャラクター性の変化とか目を使わないところばかりだ。

これ擁護派は皆舞台版CATSだと思ってない?これ映画版。映画とは何か?映像です。カメラで映ったものが全ての映像。舞台慣れしている人は、金髪碧眼のトムを日本人が演じていたとして「黒髪だしアジア系だけどこの舞台では白人のトムなんだな」と補完してみる。舞台版CATSを見に行って全身タイツで猫メイクした人間に対し「猫だ」と思いながら観る。そう、舞台はなんにでもなれる。しかし映画の見方はそれと違う。刺されて血が出なかったら「なんで血が出ないんだろう?」となる。もうそれが全てである。この顔は人間、耳とヒゲが生えて、裸体にはびっしり毛が生え、股間には何もないけど股を打つと股間を抑えて痛がる。ダンスはとても上手に踊るし歌もうまいが、この生き物に愛着が持てないまま映画が終わった。
なんで全身毛が生えてて人間のボディラインがしっかりでてるデザインなの?
全身毛が生えてると後ろから照明当てた時に闇夜に浮かび上がっているように見える。舞台はロンドンの夜なので終始浮かび上がる猫人間。顔は人間でアイラインちゃんと引いている。受け入れられないデザインとところどころおかしい縮尺。顔のついたゴキブリを食べる人面猫。服を脱いだら黒い毛がびっしり生えて逆三角形の艶かしい体した黒猫。
ツッパリ猫ラムタムタガーのセクシーアピールに発情する雌猫たち。ミルクをペロペロ舐めるイアンマッケラン。
映像の悪趣味さはそりゃもう私の半生でみた映画の中でもトップクラスだと思った。悪趣味映画じゃないのに出されてきたのがこれだ。

舞台版との違いは多い。ヴィクトリアのソロとそのリプライズがある。リプライズはオーデュトロノミーも歌う。グリザベラが娼婦だという設定は多分無くなって、マキャベティと一世を風靡したグラマーキャットだが今は老けて孤独だという説明になっている。ミストフェリーズは気弱で自信がなくアスパラガスのことを尊敬している。ヴィクトリア(劇団四季版だとシラバブ)が気になって、ナイトのように守ろうとする。
マキャベティはめちゃくちゃ登場して大暴れし小物感がある。グロールタイガーのパート、ジェリーロラム=グリドルボーン、ランパスキャットなし。ジェニエニドッツのタップダンスはなくなり、スキンブルシャンクスがタップダンスをする。
ミストフェリーズの紹介をするのはマンカストラップで、タガーの出番少なめな印象。マンカストラップが名乗らないままなのは舞台と同じ。
キャラクタービジュアル以外は良い。映画として落とし込めてるところも納得できる。CATS好きなら10点!しかし見える映像全カットに皮膚にビッシリ毛の生えた人間。-10点。ショック受けながらも私はキャッツ好きだなという気持ちがふつふつと戻ってきた。+2点。


アンドリューロイドウェバーの映画はいつもなんだか揉めてる。エビータの時はマドンナがエバペロン役なんて!オペラ座の時は怪人がロック的歌唱なんて!それでも両方面白かったなと改めて思う。なんせちゃんと人間だったから。もう全部毛が生えてないだけで映画としての一定の評価を付けられそう。
私の映画批評ポイントに「全身に3D処理された毛が生えていない」という項目が現れた、革命的映画であった。

もう一回次は吹き替えで観ます。
ヒロタ

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