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マッチポイントのmasayaanのレビュー・感想・評価

マッチポイント(2005年製作の映画)
3.5
ほとんど同様の主題を持つ全盛期の『重罪と軽罪』を先に見ているので、既視感があるっちゃある。あれに比べればプロットは巧妙になってるけど、画面の映画的な充実度はどうしても劣るし、登場人物たちの年齢をグッと下げてよりライトな仕上がりにしているなと。男中心で、夢見がちなアメリカ女がヨーロッパで馬鹿にされるという分かりやすさ。

というか、浮気相手が手に負えなくなってウザいので殺してしまおう、という状況の推移は死ぬほど通俗的な昼ドラのようですらある。それをウディ・アレンが改めていま、普通に撮ると、「うわ、逆にめっちゃ普通だ笑」という驚きに変わる。この人の文体って、やっぱり自分が出演して、わーわー喋る事も大きかったんだなと。なにも知らずに見て、この映画をウディ・アレン作品だと当てられる自信はない。それくらい普通。

話の転がり方は「なるほど、上手いなあ」とは思いつつ、どうしてもここがもう一回見たい、みたいなところは皆無で、かと言ってどうしても貶したいところもない。徹底的に、見ようが見まいがどちらでも良い作家であり続けたということか。強いて言えば、メンヘラ的に描かれるスカヨハの後半の役回りがガッカリするほど単調だったので、男が負ける『ゴーン・ガール』とかの方がエンタメとしては面白いかなーと思いました。
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