~運命を分ける“一球”、情欲と野心がぶつかるウディ・アレンの異色作~
「マッチポイント」は、ウディ・アレン監督がロンドンを舞台に描くスリリングなラブサスペンスである。テニス元選手のクリス(ジョナサン・リース=マイヤーズ)は上流階級の女性と結婚し、富と地位を手に入れかけるが、美しきノラ(スカーレット・ヨハンソン)との危険な関係に溺れていく。
運や偶然が人生を大きく左右するというテーマを、テニスの“ネットを越えるか否か”の一瞬と重ね合わせながら映し出す。ウディ・アレンらしい会話劇やコメディ要素は抑えられ、緊迫感と背徳感を軸にしたシリアスなトーンが作品を引き締める。人間関係が綻びる過程と、そこから起こるサスペンスフルな展開がスムーズにつながり、観る者を一気に引き込む。
欲望と運命をスタイリッシュに描いたウディ・アレンの異色の作品だが、個人的にはキャラが好きになれなかったというか、主人公に対しイライラしたというか、でちょっと低めの評価になりました。