このレビューはネタバレを含みます
渥美清の偉大さよ。
中学生の娘を持ち小説家となった満男が、泉と再会する話が進行しながら、昔のシーンを何度も回想する構成。
現代のほうの筋も悪くはない。だが、やはり大スクリーンに、あの四角い顔が大写しになったときには、もうすべて持ってかれてしまう。
大人になったいまならわかる、子役時代の吉岡秀隆と渥美清の台詞の掛け合いの素晴らしさ。忘れたころにふらーりとやってくるのに、くるまやの面々や見ている我々を一瞬で掌握してしまう渥美清の引力と演技。
いだてんを見ていたので、もしかしたら阿部サダヲあたりなら、あの台詞まわしを継承できるのか、とも思ったが、見た目も含めてやはり渥美清は渥美清だけだな。
今回の浅丘ルリ子だけでなく、吉永小百合や、栗原小巻、大原麗子など、当時の歴代のマドンナたちがたぶんほぼ?全員登場し、一瞬だが笠智衆なんかも登場していた。そうだよなー、笠智衆もいたんだよな。すごいわ。
オープニングで桑田佳祐御大がテーマソングを歌っていたが、あの歌詞を、「どうせおいらはやくざな兄貴、わかっちゃいるんだ妹よ」の歌詞を、説得力をもっていえるのは、寅を演じてきた渥美清だからこそだ。エンディングは渥美清だったのでよかったよかった。
ラストで満男が寅を思いながら、涙するシーンは、こちらも涙せずにはいられない。
男はつらいよ、最近テレビでやらなくなった。年末年始あたりにテレ東の深夜枠とかでもやってくれていいのに。