♪ ビュワーン ビュワーン
はしるあおいひかりのちょうとっきゅう
じそくにひゃくごじゅっきろ
すべるようだな
新幹線公害を主軸に描いたサスペンス。
かなり真面目な作品でした。本作は1975年に公開。当時は深刻な社会問題だったんでしょう。
ちなみに僕は『ブラック・ジャック』のあるエピソードを思い出しました。自分の投げた石が跳ね返って家族を傷つけたが、振動の所為で緊急手術できない…という話です。こちらは1976年に掲載されていました。
技術が人を幸福にするとは限らない。
たぶん、人間はそれを念頭に置かないといけないのでしょう。新しいものを導入するときは利便性だけを追求するのではなく、慎重な運用が求められるのです。
だから、ネットの使い方も同じ話。
猫も杓子もデジタルになびいていますが、便利であるがゆえに簡単に消えてしまうのが電子の世界。本当に大切にしたいものはアナログで残すべきだと僕は思います。って話が大きく逸れました。
映画の話に戻すと、真面目な映画ゆえに物足りなかったのも事実。ぶっちゃけた話、犯人役を演じた近藤正臣さんだから成立した作品だったと思いますよ。
一応、濡れ場もあるんですけどね。
でも、筆致が真摯なんで寧ろ余分なんです。関根恵子さんや梶芽衣子さんの「ムフ(byあだち充)」的なシーンに異議を唱える…なんて贅沢な話だと思いますが。
この辺りは流石の増村保造監督。
エロは手段であり、その先にある“何か”が大切なんです。
まあ、そんなわけで。
約50年前の歴史を紐解くような姿勢がオススメ。
本作が題材とした新幹線公害が騒音及び振動規正法の足掛かりになったそうですからね。時代の空気を知るには良い教材です。
なお、注目すべきは新幹線絡みの撮影。
話によると当時の国鉄は非協力的だったので(題材が題材的に当たり前ですが)どうやって撮影したんだろう?と想像しながら鑑賞すると面白いと思います。