ATSUSHI

シークレット・エスケープ パリへの逃避行のATSUSHIのレビュー・感想・評価

3.4
『タリー』でも衝撃だったワンオペ育児の話でもあるのだけど、母の身である事の苦労がまじまじと伝わる。趣味人間を自称してる自分とはまるで反対。子供たちの面倒はもちろん、家事のあれこれも全部こなさなければならないうえに、夫の性欲の捌け口役まで任されてと息が詰まる。夫が妻を愛しているのは素晴らしいし彼女を幸せにしようと努力はしているのだけど、彼女には外の空気が足りていない。決して自己中な旦那が、浮気する妻が、と極端に批判できないからこそ難しい話。

このテーマといい、物語の運びもまたアルゼンチンの『しあわせパズル』にもよく似ているのだけど、あちらは立派な趣味があったお陰でより主人公が自律的に成長したものだったけど、比べたら本作のそれは漠然としていたのが弱点だったのかも。


作品自体は面白かったけども、〈エロティック・サスペンス〉とか意味分からない売り方は酷い。
同様にこの主人公を一方的に攻め立てるようなコメントも見受けるが、人間性を疑うぐらい酷い。この映画の主張をまともに受け入れられない器の小ささを露呈しているに尽きる。ミソジニーか何かなのか。