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スケート・キッチンのbibooのネタバレレビュー・内容・結末

スケート・キッチン(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

スケートキッチンのファッションから出で立ちからやってることまでものすごくポップでキャッチーなので、監督が電車内でスカウトして一本の映像を作ってしまった理由がわかる。スタイリストもいるにはいるけど、スタイリングは基本彼女たちに任せているから個々のリアルな好みが反映されているし、カメラワークやアートが趣味&特技というのも事実に基づいてるから、役に関してはほぼ当て書きっぽい感じで作られていて、フィクションとドキュメンタリーの境が曖昧になっている。実際に監督もドキュメンタリーが好きな人で、本作はその中間を意識して作っているそう。彼女たちが集まって話してる内容もすんげーリアルなガールズトークなのでそこに台本がないことがわかるし、とにかく等身大の彼女たちが撮りたかったんだなというのが構成から伝わってくる。
スケートキッチンのクルーそれぞれに普段についてインタビューしてメモったことから物語を紡いでいったというように、全体のストーリーは(特に主人公のカミーユの設定は)至って普通の、むしろベタなティーンの日々という感じなんだけど、その普通さが逆にリアリティとフィクションの境目を曖昧にしているし、狭いコミュニティゆえの若者同士の空気感が濃く漂ってくる。見進めるほどに、“つるむ”ってこういうことだったな…とだんだんこちらまで遠い日の記憶が蘇って辛くなってくる。あのゴタり方もありそうだし。
生々しいシーンもまあ多いけど、そんなことすべて置いてオールオーケーにしてしまうやけに爽やかなエンディングがめちゃくちゃ良い。あと、そんな普段の日々をナチュラルに映しているからこそ、彼女たちが遊びまわる街並みとも密接で、今のニューヨークの空気が画面からにおってくる。その時代の街を知りたいときとか数十年後本作を見たら資料としてもすごく良いんではないかなと思う。

あとカミーユのバイト先の先輩が言ってた「クーポンは客を凶暴にする」ってセリフがウケた。

本作のきっかけとなった短編は、クライマックスで各々の好きなルックを着て滑りまくるシーンがめちゃくちゃ良い。
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