足拭き猫

YUKIGUNIの足拭き猫のレビュー・感想・評価

YUKIGUNI(2019年製作の映画)
4.1
平日の朝9時台だからか映画館の一番大きなスクリーンで。普段は大作を上映してる場所なので爆音でびっくりしたが、途中から音量下がった?慣れた?どちらかよく分からないが、ゆったりと贅沢な雰囲気で鑑賞。カクテル「雪国」の見事な色彩も堪能できた。

酒田市の「ケルン」というバー(昼間は喫茶店)でカクテルを作る井山計一さんは90歳。雪国という名前のオリジナルカクテルを昭和30年代に作り、伝説のバーテンダーとして憧れている人も多いのだとか。
危うく老人の生きがいについての内容になりそうなところを、ぎりぎりで偉大な人物として描いていてバランスが良い。喋っているだけのドキュメンタリーは飽きることが多いのだが、井山さんだけでなく娘さんや同業の方、お客さんの話をテンポ良く挟んでいるのと、スタンドナンバーの音楽と小林薫のナレーションが融合して味わいのある作品になっていた。おいしいお酒と会話を楽しむお客さんたちの表情も温かい。

冷静な井山さんが涙を流す理由、しっかりした人が崩れる瞬間が切ない。