mai

スノー・ロワイヤルのmaiのレビュー・感想・評価

スノー・ロワイヤル(2019年製作の映画)
3.6
レビューを見ても、面白かった/面白くなかったで結構分かれてるみたいですが…私は好きでした!

正直、この映画にストーリー性も何もなかったです。「模範市民賞、キレる」とポスターには書いてありますが、「模範市民賞」も「キレる」もどこにいったんだというくらい全くかけ離れた結末へと向かうので…なんというか、どう面白く人を殺していくか?を楽しむ映画だと思いました(この時点でかなり不謹慎ですね)。
最初は息子の敵討ちのはずだったのが、彼が引っ掻き回すおかげで、まさかの先住民vsマフィア?の麻薬取引縄張り戦争へと発展していきます。もうここまでくると、息子の敵討ちなんかどうでもよくなってきます。笑
そんなストーリーも何もって映画なのですが、最後まで面白く観れたのはブラックユーモアの世界観が好きだったからです。
とにかく次から次に可哀想な理由で死んでいくのですが(その展開自体はかなり自然なので、死因に違和感は感じないのですが、出てきて速攻で殺される…とかだし、その一つ一つの会話が面白いしとかで)、その理由だったり殺される状況だったりが「作ってる人楽しんでるよね?」という感じでした。唯一、主人公の兄の死に方はカッコ良かったです。初めは「巻き込まれて死ぬなんて」と思ったのですが、兄は自ら殺されようとして、その代わりに弟に目が向かないようにしてたんですね…。

硬派な映画だと思って観に行ったので、いい意味で肩透かしを食らいました。笑
最後のシーンなんか、総力戦なのにめちゃくちゃですし。笑

この映画が「ブラックユーモアを交えながらキャラを殺していく」点に醍醐味を据えている証拠?に、エンドロールは「死んだ順(in order of disappear)」に除雪されていきます。その後に、正規のクレジットで出てきた順(in order of appear)に流れます。
死んだ順に…なんて初めて見ました。笑

顔の原型わからなくなるくらい殴ったり、献上品に生首持ってきたり…かなり暴力的なので、その部分は若干苦手でしたが、後はかなり面白く見れました。
殺しをやった後に鳴り響くiPhoneの着信音とか、どこか間の抜けた感じが好きでした。

普段は全てに結末が用意されてないと気が済まないのですが、この映画に限定して言えば、マフィアや先住民がこの先どうなるかとか野心に燃える女性警察官はどうするのか、また残された息子と元嫁はこの事件をどう扱うのか、主人公の出ていった嫁はどうしてるのか…とか、結構話を広げるだけ広げて何も結末は用意しないという感じなのが、逆に好きでした。その分、ストーリーにあまり執着せずにブラックユーモアを楽しめました。
mai

mai