CU

私、オルガ・ヘプナロヴァーのCUのレビュー・感想・評価

3.9
この作品を観て、2008年に秋葉原通り魔事件で無差別大量殺人を犯した加藤智大死刑囚を思い出した。

自分は彼が犯したような犯罪には、時代性が強く反映されており、その影響が何らかの原因を生み出していると考えていたのだけど、この作品を観て、それは違うかもしれないと考えを改めた。

何故なら、生きる時代は異なれど、無差別大量殺人という犯罪において両者は共通しており、また、親からの虐待やイジメなど、オルガと加藤死刑囚の成長過程には類似性が見られるからである。

ということは、いくつかのある条件が揃う時、両者が犯したような殺人事件が起きる可能性があるのではないか。ただし、あくまでもこれは仮説だし、可能性の話でしかないけれど。

オルガはチェコで最後の女性死刑囚となり、加藤智大死刑囚も2022年に刑が執行され、すでにこの世にはいない。

とても不幸な犯罪だし、とても不幸な結末だと思う。長い間なにも誰も救われず、不幸が不幸なまま周囲にも不幸を撒き散らして不幸に終わる。 

彼/彼女が犯行に至るのを阻止するには、一体何が必要だったのだろう。周囲の共感や理解?優しさ?それとも病院での適切な治療か?

その答えはわからないけれど、とりあえずオルガや加藤死刑囚がいたことを忘れずにいようと思う。自分だって、もしかしたらオルガになるかもしれない。ある条件さえ揃えば、不幸はいつだって発動する可能性があることを忘れずにいたい。
CU

CU