Tomo

私、オルガ・ヘプナロヴァーのTomoのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

🇸🇰孤独や差別から居場所をなくした代償🇨🇿


モノクロ映像に無機質な人物描写。
それだけに陰鬱でリアリティに満ちた
印象を保ち続け、最後まで突き抜ける
圧巻の作品🎞️


暴力的な父、厳格な母の影響から、13才
で精神安定剤を大量服用し自殺未遂を図
る。その後精神病院に入院するが、内部
ではリンチを受け、居場所のなくなった
オルガは1人人里離れた小屋に移り住む。

このへんの経緯は淡々と、まるでセンテ
ンスのように描かれてるので、オルガの
感情をうまく見出せないが、そこは主演
のミハエル・オルシャニスカの圧倒的な
演技力だろう。
無表情や仕草から、精神が削られていく
様子が痛いほど見えてくる。


その後も周囲の人々とは打ち解けられず、
その結果誰からも理解されず、孤独感に
苛まれ続けるオルガ。

孤独感、疎外感とともに、レズビアンで
あるという人と違う自分は居場所をなく
し、酒とタバコに溺れ、精神状態は破綻
に近づいていく…….⚠️


“選択肢は自殺か殺人か”
“私は決断する”
“憎い人々への復讐を”
………….……………………………………

無表情のオルガの赤裸々な宣告の長回し
シーンは、自ら堰き止めていた門を開放
した瞬間のようで、観ていて緊張感が
ハンパない。

そして、凶行によりオルガは逮捕されるが、
それ以後の展開は伏せておこう。


ラストでオルガは抵抗し、暴れ叫ぶ。
まるで、自分の内なるものを全て曝け出
し、自分自身を誇示するかのように…..


そして、オルガの家族たちの変わらぬ
日常🫕

そう、とんでもない残酷なラスト‼️


オルガが自ら下した評決は、世間の人々
どころか、家族にすら1mmも届いてい
ないのではないかと思うと、オルガの
人生の選択とは一体何だったのだろう?
そこにはやり切れなさしかない。


そして現在も、これから先も、こうした
事件はなくなることはない、と正直思っ
てしまうとこが、この作品から感じて
しまうのが1番辛かったかも⤵︎
Tomo

Tomo