のすけ

私、オルガ・ヘプナロヴァーののすけのレビュー・感想・評価

3.3
ジャケが気になって鑑賞。
チェコ最後の死刑囚オルガ・ヘプナロヴァの半生を描いた作品。
全編白黒で、オルガの容姿はマチルダっぽい。劇伴が無く坦々としていて独特の空気感だった。

父親から虐待され、母親はネグレクト。
自殺未遂の末の施設ではイジメを受け、どこにも居場所がない人生を送るオルガは、そのやり場のない怒りと悲しみを、自殺で終えてしまうのではなく、他人に向けて爆発させようという考えに至る。

同じような犯罪者を生まないためにやれることがあるばずだ。と訴えるオルガ。しかしそれは人生で誰も助けてくれなかった怒りと悲しみを皆に分かってほしいという感情の裏返しのように見えた。

快楽殺人ではないし、屈折した家庭環境が生み出した悲劇と言えるかもしれない。
日本での犯罪の多くもこういった背景があるはず。
オルガもある意味被害者なんだろうけど、結末があれでは擁護できない‥
死後もなお普段と変わらぬ家族を映したラストカットが皮肉だ。