Uえい

私、オルガ・ヘプナロヴァーのUえいのレビュー・感想・評価

3.0
73年のチェコが舞台で、とある事件を起こす22歳の少女オルガを描く。実在の人物がモデルになっていて、「ヴィオレット・ノジェール」や秋葉原通り魔事件を扱った「ぼっちゃん」を思い出す。

オルガは裕福な家庭で育つが、ODするなど問題を重ね、精神病院に送られてしまうほどだった。その後、近くの小屋で疑似一人暮らしをする事になるが、お酒を飲んだり、女の子を連れ込んだりなど思春期の男子の様な行動で笑えてくる。しかもコミュ障なところがあり、隠キャ男子が美少女に転生したかの様に感じた。

客観的に見るとオルガの周りには良くしてくれる人がいるが、彼女の主観では"いじめられっ子"のような扱いをされているという強烈な被害者意識が燻り続ける。そして、自殺の代わりに周りを巻き込む事件を起こし死刑になろうと考えたのだった。

ただただ自分勝手にしか見えないのだが、自分の名前が言えなかったりと、自分と向き合えておらず、同時に他者とも向き合えていなかった。カラーの時代なのに白黒で撮るというのもこのオルガの気持ちを表しているんだろう。原因は父との関係や愛着の問題のようにも見えるし、当時の社会主義だったチェコの閉塞感を反映しているようにも見えた。
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